|
高齢者や障害者のために大規模修繕時、階段にステンレス製の手すりを設置した大阪・住之江のマンション管理組合の取り組みを伝える記事。今でいうバリアフリー対応だ。マンションは当時築11年で、管理組合の先見性がうかがえる。紙面ではこうした先進的、あるいはタイムリーな取り組みをいち早く伝えている |
|
マンション管理新聞は93年4月、創刊以来据え置いてきた購読料を値上げした。従来の1万円(消費税別)を1万5千円(同)に 引き上げる「大改定」だったが、読者の理解を得ることができた。この料金改定以降、購読料は12年間据え置かれている。紙面では、読者の支援に応えようと一般記事以外の、企画・連載などの充実に力を注いでいる。
93年は前年十一月の「榮高」倒産事件の余震が、業界を揺らし続けた1年になった。榮高の管理組合資金収納・保管業務の実態が明らかになる一方、(社)
高層住宅管理業協会は収納・保管口座名義の実態調査を実施。
11月には調査結果を発表している。当時は修繕積立金の収納・保管 口座を「管理組合理事長」名義にしている管理会社は全体の6割程度で、「組合理事長代理」が約1割、「組合代行会社名義」が約3割を占めていた。榮高の親会社・豊榮土地開発の倒産で、同社が分譲したシルバーマンションの管理運営が宙に浮く事件も起きている。
94年は、ペット飼育の差し止めを認める判決が相次ぎ、分譲マンションでのペット飼育が再び関心を集めた。京滋マンション管理対策協議会は6月、飼育者で構成する委員会方式を提言する形で使用細則をまとめた「管対協標準管理規約改訂版」を発行。飼育をめぐる議論に一石を投じている。
この年の3月に地裁判決があった東京・品川の 「シティコープ八潮浜」事件は結局、最高裁まで争われる結果になった。
|
阪神・淡路大震災は分譲マンションの「ソフトのもろさ」を大々的に露呈させた。法律に対する疑問や建て替え・復旧方法など、合意形成をめぐるトラブルが相次いだ。こうした問題は現在でも完全な解決が図られていない部分が少なくない |
|
11月には東京・練馬の団地管理組合理事長による組合資金の横領が発覚。管理組合の被害額は約3億6千万円とされ、数ある組合資金横領事件の中でもかなりの高額に上った。販売主が分譲した駐車場の専用使用権をめぐる訴訟の地裁判決が出たのも、この年。
95年は(社)日本高層住宅協会が長期修繕計画の分譲時提示、説明実施を決め、住宅金融公庫が優良分譲住宅について維持管理体制の整備に係る基準を強化。修繕積立金の底上げを図るなど、現在のマンション管理の基盤の一つが整備された年に位置付けられるが、やはり阪神・淡路大震災の発生がすべて、の観がある。紙面も、震災関係、耐震診断・補強で埋め尽くされた。 |
連載 |
|
93年ごろから、さまざまな連載が次々と企画・掲載された。中でも現役管理員が現場の出来事をつづった「ランニング・フリー」は人気を博した。 |
|
93年から次々開始
手記、事件検証、出来事ピックアップ
現役管理員が日々の業務をつづったセミ・ドキュメ ントストーリー、管理組合元理事長による管理会社変更手記93年ごろを境に、定期的に掲載される「連載記事・企画」が急速に増えていった。
いわゆる「手記もの」にとどまらず、当時起きた事件や出来事をピックアップしたり、追跡す
る検証記事が紙面で一定の割合を占めるようになってきたのも、このころからだ。
中でも人気を集めたのは、現役管理員による手記。「ランニング・フリー」(「順風満帆」の意)のタイトルで、92年10月から94年2月まで1年5カ月、30回にわたって連載された。現場で起きた数々のエピソードが独特の言い回しと臨場感のある文体でつづられている |
制度 |
|
(社)高層住宅管理業協会が96年にスタートさせた「管理費等保証制度」。当初の保証規模は約5億円だった |
|
96年、221社でスタート
管理協 管理費等保証制度
管理会社の倒産等で金銭被害を受けた管理組合に、1カ月分の管理費用相当額を保証する、(社)高層住宅管理業協会の管理費等保証制 度がスタートしたのは96年10月。保証規模は5億3千万円。保証機構には協会会員の約7割に当たる221社が加盟した。
同制度は平成15年、東洋ビル管理の倒産で初めて適用。 保証金の支払いは総額で約6千3百万円に上った。 |
企画 |
|
10大ニュースは88年開始。90年から98年までは管理会社各社、各管理組合団体の5大ニュースも個別に掲載していた |
|
「この1年」の締めくくり
10大ニュース・5大ニュース…
一年を締めくくる「10大 ニュース」は、88年スタ ート。以後毎年、12月12・25日付の紙面に掲載されている。90年以降は管理会社各社、管理組合団体の五大ニュースも加わり、98年までこのスタイルが続いた。ちなみにこの時期の10大ニュースのトップは、93年が分譲業者の駐車場経営をめぐる3月17日の福岡地裁小倉支部判決、利用方法をめぐる11月19日の浦和地裁判決をピックアッ
プした「駐車場めぐる裁判で重要判決下る」、94年が住宅金融公庫の「優良中古マンション融資制度整う」、95年は「阪神大震災で諸 問題噴出」、96年は「管理費等保証制度スタート」 |