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当時は10日・25日付の月2回発行。2年後には購読料を据え置き、月3回発行に切り替えた |
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マンション管理新聞は85年4月に創刊した。当時は毎月10日、25日の月2回の発行だった。多少サイズは小さいが、判型は現 在と同じタブロイドでスタートしている。年間購読料は1万円。東京・大阪の両本社体制で、東京本社は東京・銀座の全国燃料会館ビ
ルに設けた。創刊号は8ページ。一面トップでは、4月に業務を開始した(社)高層住宅管理業協会の内部機関・マンション保全診断センターの開設
を報じている。協会の米倉喜一郎専務理事の「マンション管理における大規模修繕の定着化の第一歩」とのコメントが、今となっては 感慨深い。広告は、8社が単独で掲載した。大阪の浪速管理は一面に掲載されている。
マンション管理新聞が創刊された85年は、旧建設省が「中高層分譲共同住宅管理業者登録規程」を告示。業法がなかった管理業界に一つの規範が提示された。現在は国家資格に成長した管理業務主任者の認定講習・研修もスタートする一方、(財)マンション管理センターが設立されるなど、
前年の区分所有法改正を受け、現在のマンション管理の基盤になるシステム・組織が形作られた年でもあった。
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管理会社榮高の倒産を報じた92年11月25日付の紙面。管理組合の資金が親会社の借金の担保に差し入れられ、倒産に伴い銀行側が担保を相殺する衝撃的な事件だった |
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当時は、管理業界では「管理業でもやろうか」といった「デモ・シカ」時代の残照が完全に消え去っておらず、いびつな権利関係が持ち込まれた分譲マンションもまだ若かった。改正区分所有法に象徴される「新時代」は、始まったばかりだった。
創刊当時の紙面で目に留まるのは、86年1月10日付で掲載した座談会だ。管理会社の役員らを迎え「明日のマンション管理をさぐる」とテーマを設定し、議論を進めたが、出席者の増岡武正・日本住宅管理組合連
絡協議会会長(当時、故人)が「管理物件の管理ヒストリー、つまりいつどこの部屋で雨漏りを直した、冷暖房の装置を取り換えた、といった内容や金の出し入れも一挙に分かるシステムを考え出して普及させては」と発言しているのが興味深い。今年スタートが予定される「マンション修繕履歴システム」に通じる内容で、氏の先見性がうかがえる。このころ、現在のNPO法人全国マンション管理組合連合会(全管連)が発足。
各地で管理組合団体の結成も相次いだ。
88年には自民党内に「マンション(中高層住宅)管理環境整備促進議員連盟」が設置されるなど、 80年代後半は政・官・民 の動きがより活発化した時期だった。90年代は前半、こうした活動がやや鈍化した観もあったが、阪神・淡路大震災の影響もあ
り、後半は一気に加速。2000年にはマンション管理適正化法が成立する。
89年は、北九州市の集合住宅で起きた外壁タイルの落下事故が世間の注目を 集める。だがここまでの最大の事件は、やはり「管理会社・
榮高倒産」だといってよいだろう。管理組合の資産がデベロッパーの借金の担保にされ、銀行に担保相殺されてしまう衝撃的な出来事は、その後長く業界を揺さぶる結果になった。 |
DATA |
19年で約3倍
分譲マンションストックの推移
マンション管理新聞が創刊した85年時点の、3階建て以上の分譲マンションのストック総戸数は全国で約151万2千戸だった(数字は現・国土交通省調べ)。それが2003年末では約447万戸と、この19年間でストックは約3倍に膨れ上がった。ちなみにストックが100万戸を超えたのは81年。50万戸超えは75年。 |
TOPIC |
霧散した「効率運用」
マンション管理センター設立夜話
85年8月に旧建設省の外郭団体として設立された(財)マンション管理センターは当初、業務内容に修繕積立金等の修繕資金の効率的な運用が掲げられる予定だったこんな事実を知っている人も現在は少数派になりつつある。
この構想は旧大蔵省の許可が出なかったために霧散し、結局リフォームローンの債務保証が当初の主な業務になった。 |
事件 |
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88年6月25日付の紙面では「暴力団撃退のための必勝法」のタイトルで特集を組んだ |
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暴力団出て行け
区分所有法改正で活性化
83年に改正された区分所有法で新設された「義務違反者に対する措置」(同法57−60条)を利用して、共同の利益に反する行為を繰り返す暴力団組員らをマンションから追い出す動きが86年から88年にかけて目立った。
賃借人の暴力団組長に対する専有部分の明け渡しを認めた86年1月の横浜地 裁判決が、「追い出し」の第1号になった。 |
企画 |
26円が17年で69円
「初期設定調査」に見る積立金の変化
マンション管理新聞が年2回掲載する恒例企画「管理費等初期設定調査」は、88年にスタートした。第1回の調査対象物件は475件だったが、
その後回を重ねるごとに対象物件を増やしている。
87年時点の全国平均の1平方メートル当たりの修繕積立金は26円。2004年下半期の調査では69円 だから、現在の四割弱に過ぎない。 |